
野菜,ブログ
フランスといえばワイン。
かつては私もそう思っていました。
しかし、連日の猛暑の中、パリの街を歩き回ったことで、旅の楽しみ方は少しずつ変化していきました。
太陽の光を浴び、乾いた喉が自然と求めたもの——それは、冷えたビールでした。今回のパリ旅で出会ったビールやシードル、そして街のマルシェで見つけた「パリの夏の旬」について、野菜ソムリエの視点から振り返ります。
旅先での直感は、時に最高のごちそうになります。
Affligem Blonde(アフリゲム・ブロンド): スーパーでパッケージの黄金色に惹かれて手に取った一本。ベルギービールらしい芳醇な味わいは、旅の始まりのワクワク感を高めてくれました。

Pelforth Blonde(ペルフォール・ブロンド): ヴェルサイユ宮殿からの帰りに。喉越しがよく、暑さで疲れた体に染み渡るバランスの良いラガーです。

Demory IPA(ドゥモリー IPA): 文豪も愛したカフェ「ドゥ・マゴ」で。パリのクラフトビールらしいフルーティーな香りと力強い苦味は、歴史ある場所での特別な体験となりました。

Kronenbourg 1664(クローネンブルク1664): 街のいたるところで見かける、パリっ子にも親しまれる存在。500ml缶の気取らない一杯は、旅の疲れを癒やす良きパートナーでした。

ビールやシードルとのペアリングを語る上で欠かせないのが、パリの街のあちこちに立つマルシェ(市場)の存在です。

今回の旅でもマルシェに足を運びましたが、そこで見た野菜たちの瑞々しさは格別でした。
夏のパリのマルシェには、トマトの濃厚な香り、ズッキーニやパプリカの鮮やかな色彩、そして瑞々しいベリー類が並びます。
野菜ソムリエとして見ていて特に印象的だったのは、「素材の味を最大限に引き出すシンプルさ」です。
パリの人々は、旬の野菜を複雑な調理で隠すのではなく、良い塩と良質なオイル、そしてハーブを少し添えるだけで楽しんでいます。 私がいただいた「タコのグリルと空豆のピューレ」も、空豆の青々しい香りとホクホクとした甘みが、魚介の旨味と冷えたビールを完璧につないでいました。

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モンパルナスのCreperie Plougastel(クレープリー・プルガステル)では、ビールだけでなく、フランスの伝統であるシードルも日常に溶け込んでいました。

リンゴの自然な甘みと微炭酸は、そば粉のガレットの香ばしさと相性抜群。 「食」とは単体で完成するものではなく、その土地の気候、旬の食材、そして飲み物が合わさって初めて完成する「調和の芸術」なのだと、改めて実感しました。
「せっかくのパリだからワインを」という当初の予定は、現地の太陽と、そこで暮らす人々のスタイルによって書き換えられました。
喉が渇いた時に選ぶ一杯、マルシェで見た旬の野菜、街角で頬張る一皿。
それらは教科書的な「フレンチの楽しみ」からは少し外れているかもしれません。
しかし、自分の体が欲するものを、その土地の文化と照らし合わせながら選ぶことこそ、野菜ソムリエプロとしての、そして旅人としての本質的な体験だったと感じています。
ワインだけではない、パリの夏の彩り。 次に訪れるときは、またその時の「旬」と「気分」に合わせて、新しいペアリングを探しに行きたいと思います。
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