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フランス・パリを訪れた際、友人から「ぜひ行ってみて」と勧められたパティスリーがありました。
オペラ座近くにあるCedric Grolet Opéra(セドリック・グロレ・オペラ)です。


野菜や果物を本物そっくりに表現した芸術的なケーキで世界的に知られる人気店ですが、訪れた日は猛暑の影響もあり、通常販売されている作品は少なく、「Fleur Vanille(フルール・ヴァニーユ)」など限られた種類のみの販売となっていました。
私が選んだのは、マンゴーとシトロン(レモン)のケーキです。

どちらも想像していた以上に大きく、見た目の美しさだけでなく、一口食べた瞬間にフルーツそのものを味わっているような感覚になるほど、素材の風味が生かされていました。

マンゴーのケーキは、香ばしいクッキー生地の上に、花びらのように美しく絞られたマンゴークリームが重なり、中央には艶やかなマンゴーゼリーがのせられていました。
中にはたっぷりのマンゴー果肉が入り、ひと口食べると濃厚なマンゴーの香りとみずみずしさが口いっぱいに広がります。
甘さは控えめで、まるで完熟マンゴーそのものを味わっているような贅沢な一品でした。

シトロンのケーキは、同じくクッキー生地の上にレモン風味のスポンジ、その上には花びらのように繊細に絞られたシトロンクリームが美しく飾られ、中央にはレモンゼリーがのせられていました。
このレモンゼリーがとても爽やかで、口の中をさっぱりとリセットしてくれるような味わいです。
レモンの香りとほどよい酸味が心地よく、暑い季節にぴったりのケーキでした。


振り返ってみると、今回のパリ滞在では、不思議なほどレモン風味のお菓子を選んでいました。
旅の最初にいただいたのは、以前から「パリへ行ったら必ず食べたい」と思っていたタルト・オ・シトロン(Tarte au Citron)。
フランスを代表する人気デザートの一つで、サクッとしたタルト生地に、なめらかなレモンクリームがたっぷり詰まったシンプルなお菓子です。
お店によってはメレンゲをのせた「タルト・シトロン・メレンゲ」もあり、それぞれ個性があります。
さらに、フォンダシオン ルイ・ヴィトン美術館のカフェでも、ショコラケーキではなくシトロンを選びました。


レモンクリームとメレンゲが小さな角を立てるようにかわいらしく絞られ、見た目も華やか。
レモンの香りはしっかり感じられますが、酸味が強すぎることはなく、まろやかな甘さとのバランスが絶妙でした。
猛暑のパリだったからこそ、身体が自然と爽やかな酸味を求めていたのかもしれません。
シトロンケーキのお供には、アールグレイをいただきました。
運ばれてきた紅茶は鉄製のティーポットに入っていて、どこか昔ながらの温かみと日本を感じ、少し懐かしい気持ちになりました。
ベルガモットが香るアールグレイは、爽やかなシトロンケーキとの相性も抜群。レモンの風味を引き立てながらも、お互いの香りを邪魔することなく、ゆったりとしたパリのティータイムを楽しむことができました。

レモンの酸味の正体はクエン酸です。
クエン酸は、運動後の疲労感を和らげる食生活の一助としても知られ、暑い季節にはさっぱりと食べられることから、自然と手が伸びる食材の一つです。
また、レモンにはビタミンCも含まれており、毎日の健康づくりにも役立つ果物です。
もちろん、ケーキは砂糖やバターも使われていますが、フランスでいただいたシトロンのケーキは「甘さを楽しむ」というより、「レモンという素材のおいしさを味わう」印象が強く残りました。
運動後や暑さで食欲が落ちているときは、酸味のある料理やデザートが食べやすく感じられることがあります。
レモンを料理や飲み物に少し加えるだけでも、爽やかな香りが食欲を引き立ててくれます。
もちろん、ケーキはご褒美として楽しむ食品ですが、「レモンの香りや酸味を上手に取り入れる」というフランスの食文化は、日本の夏の食卓にも取り入れたい知恵だと感じました。
フランスでは、素材そのもののおいしさを大切にしたお菓子が数多くあります。
今回出会ったシトロンのケーキも、マンゴーのケーキも、甘さだけではなく「果物を味わう」ことを大切にした一品でした。
旅先で感じたおいしさには、その土地の気候や文化、そして季節があります。
これからも、フランスで学んだ食文化を、野菜ソムリエプロ・アスリートフードマイスターの視点から、日本の皆さんの食卓に役立つ情報としてお届けしていきたいと思います。
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