コラム

麹はなぜおいしさを生み出す?|酵素の働きと発酵の魅力

アスリート食,食育,ブログ

味噌、しょうゆ、みりん、酢、そして日本酒。

私たちの食卓には、昔からたくさんの発酵食品があります。

以前のコラムでは、ヨーグルトメーカーをきっかけに始まった、わが家の発酵生活をご紹介しました。

塩麹、にんにく麹を作り、最近では「しょうが麹」も仲間入り。

実際に料理に使っていると、塩味をつけるだけではなく、食材の味に深みが加わったり、肉がやわらかく感じられたりと、麹のおもしろさを感じるようになりました。

そこで今回は、レシピから少し離れて、

「そもそも麹とは何?」
「どうして麹を使うとうま味や甘みが生まれるの?」

というところを、もう少し掘り下げてみたいと思います。

 

そもそも「麹」とは?

麹とは、米や麦、大豆などに「麹菌」というカビの一種を繁殖させたものです。

「カビ」と聞くと少し驚くかもしれませんが、麹菌は日本の発酵食品づくりに古くから利用されてきた微生物です。

米に麹菌を繁殖させれば「米麹」、麦なら「麦麹」、大豆なら「豆麹」と呼ばれます。

これらの麹は、味噌、しょうゆ、みりん、日本酒など、さまざまな発酵食品をつくるために利用されています。

普段何気なく使っている調味料の背景にも、実は麹の働きがあるのです。

麹菌と「酵素」の関係

ここからが、今回私が特に興味を持ったところです。

麹菌そのものが食材をおいしくしている、というよりも、

麹菌が増殖するときにつくり出す「酵素」が重要な働きをしています。

酵素にはいろいろな種類があり、それぞれ分解するものが異なります。

代表的なのが、

アミラーゼ・・・でんぷんを分解し、糖をつくる。

プロテアーゼ・・・たんぱく質を分解し、ペプチドやアミノ酸などに変えていく。

この働きが、発酵食品のおいしさを考えるうえで大切なポイントです。

でんぷんから「甘み」が生まれる

米などに含まれるでんぷんは、そのままでは酵母がアルコール発酵に利用しにくいため、まず糖に変える必要があります。

ここで活躍するのが、麹菌がつくるアミラーゼなどの酵素です。

アミラーゼがでんぷんを分解し、ブドウ糖などの糖をつくり出します。

たとえば日本酒づくりでは、麹の酵素が米のでんぷんを糖へ変え、その糖を酵母が利用してアルコールをつくります。

米のでんぷん
 ↓ 麹の酵素糖
 ↓ 酵母
アルコール

麹と酵母、それぞれ違う微生物の働きを利用して日本酒がつくられているのです。

普段飲んでいる日本酒の中で、このような変化が起きていると知ると、発酵が少し身近に感じられます。

たんぱく質から「うま味」が生まれる

もう一つ重要なのが、たんぱく質を分解するプロテアーゼです。

味噌やしょうゆの原料となる大豆には、たんぱく質が豊富に含まれています。

麹菌がつくるプロテアーゼなどの働きによって、たんぱく質がペプチドやアミノ酸へと分解されていきます。

アミノ酸の中には、うま味に関係するものがあります。

その代表がグルタミン酸です。

味噌やしょうゆを口にしたときに感じる、塩味だけではない複雑なうま味。

その背景には、発酵・熟成の過程で起こるこうした変化があります。

つまり麹は、

「味をつける」だけではなく、食材に含まれている成分を酵素の力で変化させ、おいしさを引き出す

という役割を担っているのです。

黄麹菌は味噌やしょうゆ、日本酒にも

日本の発酵食品づくりで広く利用されているのが「黄麹菌」です。

味噌やしょうゆ、日本酒など、それぞれの食品に適した麹菌や製麹方法が用いられています。

ただし、同じ麹菌を使えば同じ味になるわけではありません。

原料、麹菌、温度、時間、塩分、そして一緒に働く酵母や乳酸菌など。

さまざまな条件によって発酵の進み方が変わり、それぞれの食品特有の香りや味わいがつくられていきます。

以前、ヨーグルト作りで温度や時間によって仕上がりが変わった経験をしましたが、発酵食品は「微生物が働きやすい環境を整える」ということが大切なのだと、改めて感じます。

わが家の麹調味料も「酵素」に注目するとおもしろい

現在、わが家では塩麹、にんにく麹、しょうが麹などを作っています。

これまでは、

「塩麹を使うとおいしい」

「にんにく麹だけでも味が決まりやすい」

という、料理をしたときの実感から麹の魅力を感じていました。

でも、麹について学んでみると、その背景には麹菌がつくり出した酵素の働きがあることがわかります。

塩麹を肉や魚の下味に使ったり、野菜と和えたり。

にんにく麹を炒め物に使ったり。

しょうが麹を肉料理やスープなどに加えたり。

「おいしいから使う」だけだった麹調味料が、

「なぜおいしく感じるのだろう?」

という視点で見ると、また違った楽しみ方ができます。

麹と秋野菜を組み合わせて

野菜ソムリエプロとして、やはり気になるのは野菜との組み合わせです。

秋から冬にかけては、レンコン、サツマイモ、里芋、きのこ、白菜、だいこんなど、食卓に取り入れたい野菜がたくさん出てきます。

たとえば、きのこをにんにく麹で炒める。

根菜を塩麹で味付けして焼く。

白菜やだいこんを塩麹と組み合わせる。

しょうが麹をスープや煮物に加えてみる。

麹調味料があれば、いつもの旬野菜もまた違った味わいで楽しめそうです。

大切なのは、麹調味料も「調味料」であること。

特に塩を使った麹調味料は、料理全体の塩分量を考えながら、ほかのしょうゆや塩などを加減して使いたいと思います。

「作る」から「知る」へ

ヨーグルトメーカーを購入したことから始まった、わが家の発酵生活。

ヨーグルトを作り、塩麹を作り、にんにく麹を作り、そしてしょうが麹へ。

最初は、

「自分で作れた!」

という楽しさが一番でした。

でも、作り続けているうちに、

「なぜ甘くなるの?」
「なぜうま味が増すの?」
「麹菌は何をしているの?」

と、次々に疑問が生まれてきました。

そして調べてみると、その裏側には、麹菌がつくり出すさまざまな酵素の働きがありました。

昔から日本の食卓を支えてきた麹。

味噌やしょうゆを毎日のように使っていても、その中でどのような変化が起きているのかまでは、なかなか意識しないものです。

作って、食べて、そして知る。

発酵について学ぶことで、いつもの料理や調味料を見る目も少し変わってきました。

これからも旬の野菜と組み合わせながら、わが家なりの「麹のある食卓」を楽しんでいきたいと思います。

 

★わが家の朝食

野菜を炒めるときに、しょうが麹を大さじ1加えています。

仕上がりには、しょうがの香りがふわっと広がり、朝の身体もじんわり温まるように感じます。

いつもの野菜炒めにしょうが麹をプラスするだけ。
忙しい朝にも取り入れやすい、わが家のやさしい朝の一品です。

皆さんも、いつもの朝食にしょうが麹を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

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『記事監修』福島玲子
保有資格:野菜ソムリエプロ |アスリートフードマイスター2級|いちごソムリエ|ジュニア食育マイスター|食の検定1級|ベジフルカッティングスペシャリスト|エコクッキングナビゲーター(東京ガス)

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